「顔の脂肪は減らしたい。でも、手術まではまだ踏み切れない」。そう思って調べ始めると、脂肪吸引と脂肪溶解注射のどちらにするかで手が止まります。
名前の似た施術がいくつも出てくるので、調べるほど、よけいに分かりにくくなっています。
整理していきます。
分かれ目は3つで、1回で終わらせたいか、どのくらい減らしたいか、休みを何日取れるかが決まれば、どちらを検討するかもだいたい決まります。
- 1回で終わらせたいか、通ってもいいか
- どのくらい減らしたいか(変化の大きさ)
- 休みを何日取れるか
もうひとつ、先に触れておきたいことが。脂肪溶解注射に使われる薬剤には、国内で承認されていないものがあります。
厚生労働省の医療広告ガイドラインは、その場合に4つの項目を情報提供するよう求めています(厚労省公式)。この記事では、5つの院の公開情報でその4項目がどう扱われていたかまで並べました。
- 「脂肪吸引」「脂肪吸引注射」「脂肪溶解注射」という紛らわしい3つの違い
- 仕組み・効果の出方・必要な回数がどう違うか
- ダウンタイムの差と、注射でも起こる副作用
- 1回の値段ではなく「総額」で比べるとどう見えるか
- 薬剤の承認状況を、自分で確認するための4項目
【結論】決め手は「回数」「減らせる量」「休める日数」の3つ
顔の脂肪吸引と脂肪溶解注射は、目指すところが似ていても、進み方がまるで違います。
そこが分かれ目です。
脂肪吸引は手術で脂肪そのものを取り出して原則1回で終わるのに対し、脂肪溶解注射は薬剤で脂肪細胞を壊す施術で、複数回に分けて通うのが前提です。
- 脂肪吸引:手術で脂肪を取り出す。原則1回
- 脂肪溶解注射:薬剤で脂肪細胞を壊す。複数回が前提
だから、どちらが優れているかではなく、1回で終わらせたいか、休みを取ってでも通いたくないかで決め手が変わります。
まず、紛らわしい3つを同じ表に並べておきます。ダウンタイムと費用の目安は、THE CLINICの公式コラムが顔の施術として挙げている数字です(同院公式)。
| 項目 | 脂肪吸引 | 脂肪溶解注射 | 脂肪吸引注射 |
|---|---|---|---|
| やり方 | カニューレを入れて脂肪を吸い出す手術 | 薬剤を注入して脂肪細胞を壊す | 極細のカニューレで少量を吸い出す。薬剤は使わない |
| 回数の目安 | 原則1回 | 2〜3回以上(院により案内が異なる) | 施術範囲による |
| ダウンタイム | 1〜3ヶ月 | ほぼ無し | 1〜2週間 |
| 顔の費用相場(1回) | 18万〜30万円 | 2万〜5万円 | 5万〜10万円 |
| 総額の考え方 | 1回で確定しやすい | 単価×本数×回数で積み上がる | 範囲を広げるほど増える |
表の金額はTHE CLINIC公式コラムに書かれている一般的な相場で、同院自身の料金表とは別ものなので、混ぜて読まないでください。
そして、いちばん気をつけたいのはここで、注射の「1回あたり」は総額ではなく、回数を掛け合わせると見え方はかなり変わります。
まず3つを分ける|脂肪吸引・脂肪溶解注射・脂肪吸引注射は別の施術

イメージ画像(実際の患者ではありません)
「顔 脂肪吸引 注射」で検索すると、脂肪吸引・脂肪溶解注射・脂肪吸引注射という名前の似た3つの施術が混ざって出てきます。
分かれ目は2つだけです。薬剤を使うかどうかと、脂肪を物理的に取り出すかどうかです。
ここを取り違えたまま読み進めると費用もダウンタイムも全部ずれてしまうので、順に整理します。
脂肪吸引は、カニューレで脂肪を吸い出す手術
脂肪吸引は、カニューレという細い管を皮膚の下に入れ、機器の陰圧で皮下脂肪を吸い出す手術で、取った脂肪はその場で体の外に出ます。
顔だと頬や顎下が対象になることが多く、THE CLINICの料金表も顔は頬・顎下という単位で価格が設定されています(同院公式)。
麻酔が要るぶん、体への負担と回復期間は3つの中でいちばん大きくなります。
- 自分が気にしている部位は、頬・顎下に当てはまるか
- 麻酔を使う施術なので、体調・持病はカウンセリングで必ず伝える
脂肪溶解注射は、薬剤で脂肪細胞を壊す施術
脂肪溶解注射は、デオキシコール酸などを含む薬剤を皮下に注入して脂肪細胞を壊す施術です。壊れた脂肪はその場で吸い出されず、時間をかけて体の外へ排出されていきます。
呼び名がやたら多いのも、この施術の分かりにくさです。
製剤名は院ごとに違い、「小顔注射」という通称で案内している院もあります。
- THE CLINIC・SBC:BNLS(Ultimate/アルティメット)
- ガーデンクリニック:チンセラプラス
- TAクリニック:カベリン・FatX Core・1dayスリムフェイス
製剤が違えば価格も回数の目安も変わるため、「脂肪溶解注射はいくら」と一本の数字では答えられないんです。
脂肪吸引注射は、薬剤を使わない小さな脂肪吸引
脂肪吸引注射は、極細のカニューレで少量の脂肪を機械的に吸い出す施術で、名前に「注射」と付きますが薬剤を注入するわけではありません。
位置づけは脂肪吸引のほうに近い施術で、じつは検索で上位に並ぶページの多くはこちらの解説なんです。
探しているのが「薬で溶かすほう」なのか「小さく吸うほう」なのか迷っている方は、ここで一度確かめておく価値があります。
- 薬剤を入れる → 脂肪溶解注射
- 薬剤を使わず、器具で脂肪を吸い出す → 脂肪吸引・脂肪吸引注射
- 吸い出す量と切開の大きさで、脂肪吸引と脂肪吸引注射に分かれる
THE CLINICは「脂肪吸引注射を積極的には行っていない」と公表している
脂肪吸引注射について、はっきりした立場を公表している院があります。THE CLINICは、この施術を積極的には行っていない立場です(同院公式コラム)。
理由としては、体型の変化を実感できるほどの効果が得られないこと、そして効果が実感できずに脂肪吸引で受け直す人が少なくないことが挙げられています。加えて、脂肪吸引注射でできることの多くは脂肪吸引でもできることも理由の一つです。
- 体型の変化を実感できるほどの効果が得られない
- 効果が実感できず、脂肪吸引で受け直す人が少なくない
- 脂肪吸引注射でできることの多くは、脂肪吸引でもできる
もちろん、1つの院の方針であって施術そのものの評価ではありませんが、提供する側がこう書いているという事実は判断材料になります。
なお同じTHE CLINICでも、薬剤を使う脂肪溶解注射(BNLS Ultimate)のほうは提供されています(同院公式)。ここでも効いてきます。
仕組みの違いは「吸い出す」か「溶かして待つ」か

脂肪吸引と脂肪溶解注射の根本的な差は、脂肪を体の外に出すタイミングにあり、脂肪吸引はその場で取り出し、脂肪溶解注射は壊した脂肪が排出されるのを待ちます。効果の出方も、回数も、費用も、ぜんぶここから枝分かれしていきます。
脂肪吸引は、その場で脂肪を体の外に出す
脂肪吸引では吸引した脂肪の量が施術中に確定し、医師がデザインを見ながら調整するので、取る範囲も量もその場の判断で決まっていきます。
裏を返せば、取りすぎても元には戻せません。
修正するには別の部位から脂肪を注入することになり費用も回復期間もあらためてかかる点は、受けるかどうかを整理した記事でくわしく扱いました。
- 取る範囲・量はどう決めるか(デザインの相談方法)
- 取りすぎた場合の修正方法と、追加でかかる費用・期間
脂肪溶解注射は、壊した脂肪が排出されるのを待つ
脂肪溶解注射は注射した日に脂肪が減るわけではなく、薬剤で壊れた脂肪細胞が代謝で排出される過程を待つので、変化はゆるやかに出ます。
THE CLINICは、BNLS Ultimate注射の効果を3日程度で実感できると説明しています(同院公式)。
- 効果を感じ始める目安:3日程度(同院公式)
- 十分な効果を得るための目安:1週間に一度のペースで3回ほど(同院公式)
ただ1回で完了するという意味ではなく、同じページには1週間に一度のペースで3回ほど繰り返すことで十分な効果が得られるとも書かれています(同院公式)。
1回で減る量はそのぶん控えめで、少しずつというのが基本の考え方なんです。
対象部位と適応範囲も、同じではない
対象部位の考え方も2つの施術で違います。脂肪溶解注射は製剤ごとに顔向け・体向けが分かれていることがあるため、対象範囲の書き方は公式ページで確認できます。
- ガーデンクリニック(チンセラプラス):顔専用と明記
- TAクリニック(1dayスリムフェイス):顔向けとして案内(同院公式)
- カベリン・FatX Core:顔と体で共通の表記
一方の脂肪吸引は顔なら頬・顎下が中心で、どちらにしても自分の顔が適応範囲に入るかどうかは鏡ではなく診察で決まります。
もたつきの正体が脂肪ではなくたるみだった場合、どちらの施術も期待した結果になりません。
効果の出方と必要な回数|ここがいちばん大きく違う

脂肪吸引と脂肪溶解注射でいちばん大きく違うのは必要な回数で、脂肪吸引は原則1回、脂肪溶解注射は2〜3回以上を前提に案内している院が多くなっています。通う回数が違えば、かかる期間も総額も変わります。
脂肪溶解注射は、3回前後を前提に案内されている
回数と間隔の目安は院と製剤によって差があるので、公式ページで確認できた4院をそのまま並べます。
| クリニック(製剤) | 施術の間隔 | 回数の目安 |
|---|---|---|
| THE CLINIC(BNLS Ultimate) | 1週間に一度 | 3回ほど |
| SBC(BNLSアルティメット) | 1週間以上あける | 1回でも効果は期待できるが、十分な効果には3回程度 |
| ガーデンクリニック(チンセラプラス) | 2〜4週間 | 2〜3回 |
| TAクリニック(カベリン・FatX Core) | 1ヶ月に1回 | 記載を確認できず |
| TAクリニック(1dayスリムフェイス) | 1〜2週間に1回 | 記載を確認できず |
各院公式で2026年9月6日に確認した内容では、3回前後という数字は共通していますが、間隔は1週間から1ヶ月まで幅があります。
つまり、終わるまでの期間は院によって数週間から数ヶ月まで変わるので、予定を組むなら金額よりまずこちらを聞いてください。
脂肪吸引は原則1回。ただし仕上がるまでは数ヶ月かかる
脂肪吸引は施術そのものは1回で終わりますが、見た目が落ち着くまでには時間がかかります。
THE CLINICの説明では、腫れのピークは術後3日目、1週間で落ち着き始め、2週間でフェイスラインがすっきりし、最終的な仕上がりは1〜3ヶ月とされています(同院公式)。
- 腫れのピーク:術後3日目(同院公式)
- 落ち着き始め:1週間/フェイスラインがすっきり:2週間
- 最終的な仕上がり:1〜3ヶ月
「1回で終わる」と「すぐ完成する」は別の話なので、ここを混同すると術後に「思っていたのと違う」となりやすいんです。
逆に脂肪溶解注射は1回ごとの変化が小さいかわりに日常を止めずに進められるので、どちらが自分の生活に合うかで比べるほうが現実的です。
- 脂肪吸引:手術は1回/仕上がりは1〜3ヶ月後(同院公式)
- 脂肪溶解注射:1回ごとの変化は小さい/日常は止めずに進められる
「効果ない」という口コミを、どう読むか
脂肪溶解注射や脂肪吸引注射を調べると「効果ない」という口コミが必ず目に入りますが、ここには施術の性質から来る誤解が混ざっています。
1回で大きく変わることを期待して1回だけ受ければ、案内されている回数に届いていません。反論のように聞こえるかもしれませんが、効くか効かないかではなく、前提の回数を満たしているかという話なんです。
- 1回だけで判断していないか
- 案内されている回数(3回前後)に届いているか
脂肪吸引注射について、THE CLINICが「体型の変化を実感できるほどの効果が得られない」と公式に書いていることは、さきほど触れたとおりです(同院公式)。
少量を取る施術に、手術と同じ変化を期待しないことです。そこが出発点になります。
- 案内されている回数(3回前後)に届いているか
- 期待している変化の大きさは、手術(脂肪吸引)と同じではないか
そして、どの院も「必ずこれだけ細くなる」とは書いておらず、効果の出方には個人差があり数値で公表されているものではないからです。
ダウンタイムの違い|注射でも「副作用ゼロ」ではない

ダウンタイムの長さは、脂肪吸引と脂肪溶解注射ではっきり差が出ます。
TAクリニックの公式比較では、脂肪溶解注射のむくみや内出血は数日、痛みは2〜3日程度である一方、脂肪吸引は腫れが2週間〜1ヶ月程度、内出血が2〜3週間程度とされています(同院公式)。
脂肪溶解注射でも、赤みや腫れは出る
「切らない」と聞くと何も起きないように思えますが、公式ページの副作用の項目を読むとそうではありません。
- TAクリニック:赤み・腫れ(2〜7日)、むくみ、筋肉痛のような痛み(2〜3日)、内出血(1〜2週間)、硬結やしこり、アレルギー反応
- ガーデンクリニック(チンセラプラス):赤み、浮腫み感、腫れ、かゆみ、内出血
- THE CLINIC(BNLS Ultimate):疼痛、浮腫、内出血、色素沈着、熱傷、知覚障害など(予期しない症状の可能性もあると明記)
内出血が1〜2週間残ることがある点は覚えておいてください(TAクリニック公式)。人前に出る予定がある方は、注射でも日程は選んだほうがいいんです。
脂肪吸引は、休みを前提に組み立てる
脂肪吸引のダウンタイムは、日単位ではなく週単位で考えます。THE CLINICの経過の目安では、腫れのピークが術後3日目、1週間で落ち着き始め、2週間でフェイスラインがすっきりしてくるとされています(同院公式)。
- 腫れのピーク:術後3日目
- 落ち着き始め:1週間/フェイスラインすっきり:2週間(同院公式)
ただし、この日数は院によって説明の幅が大きいところなので、何日で働けるかと何ヶ月で完成するかは分けて聞いてください。
過ごし方や職種別の考え方は、顔の脂肪吸引のダウンタイムをまとめた記事に整理しています。
- 2週間以内に外せない予定がある → 脂肪吸引は日程を動かすほうが安全
- 注射でも内出血が1〜2週間残ることがある(TAクリニック公式)
- 「ダウンタイムがほぼ無い」は「副作用が無い」という意味ではない
費用は「1回いくら」ではなく総額で比べる

脂肪溶解注射が安く見えるのは、表示されているのが1回分あるいは1本分の価格だからです。
脂肪吸引は1回で総額が確定しますが、脂肪溶解注射は単価に本数と回数を掛けて初めて総額になるため、ここを揃えないと比較になりません。
脂肪溶解注射は、価格の単位が院ごとに違う
並べてまず驚くのは単位のばらつきで、ccで出す院と本で出す院があります。
| クリニック | 製剤 | 公表されている価格 |
|---|---|---|
| THE CLINIC | BNLS Ultimate | 会員 8,800円/cc(税込9,680円)/ローン 5,500円/回〜 |
| ガーデンクリニック | チンセラプラス | 1本 105,600円(税込)/1ccあたり13,200円。モニター 1本70,400円 |
| TAクリニック | カベリン | 1本 3,500円 |
| TAクリニック | FatX Core | 1本 7,000円 |
| TAクリニック | 1dayスリムフェイス | 1本 4,300円 |
| SBC | BNLSアルティメット | 公式ページのテキストとして価格を確認できず |
各院公式で2026年9月6日に確認した内容ですが、1本と1ccが同じ量とは限らないので、この表の数字は横並びで大小を比べられません。
SBCについては公式ページ上でテキストとして価格を取得できなかったため、金額は書かずにおきます。カウンセリングで直接確認してください。
回数を掛けると、総額はどう動くか
単価と回数の両方を公表している院なら、総額を計算できます。ガーデンクリニックのチンセラプラスは1本105,600円で治療回数は2〜3回です(同院公式)。
- 単価:1本105,600円(同院公式)
- 治療回数の目安:2〜3回
同院公式の単価から計算すると、1回に1本を使う前提で総額は211,200円から316,800円、モニター価格の70,400円なら140,800円から211,200円になります(同院公式の単価をもとに計算)。
- 2回:211,200円/3回:316,800円
- モニター価格なら:140,800円〜211,200円(同院公式の単価をもとに計算)
脂肪吸引の総額と、そこまで離れていないと思いませんか。1回の表示価格だけを見ていると、気づけない部分です。
ほかの院では、この計算ができませんでした。1回に何本・何cc使うかが公表されていません。そこが盲点です。
- 私の顔だと、1回に何本使いますか
- 合計で何回になりますか
脂肪吸引の総額は、基本セットまで含めて見る
脂肪吸引も、施術費だけでは総額になりません。THE CLINICの顔(頬または顎下)は施術費が会員297,000円・一般369,600円で、これに基本セットが会員55,000円・一般110,000円かかります(同院公式)。
合計すると、会員352,000円・一般479,600円(同院公式)。
他院の総額も、公式の内訳から並べてみます。
- THE CLINIC:会員352,000円・一般479,600円(施術費+基本セット)
- モッズクリニック:頬・顎下それぞれ一般352,000円・会員275,000円(同院公式)
費用の全体像は、顔の脂肪吸引の費用をまとめた記事で部位別・術式別に整理しました。
費用と一緒に、主なリスクと副作用を確認する
自由診療は費用・治療内容・主なリスクをセットで確認して初めてフェアに判断できるので、金額だけを見て決めないでほしい点です。
- 脂肪吸引:腫れ・内出血・拘縮のほか、取りすぎによる凹みや左右差。修正には脂肪注入が必要で、費用が別にかかる
- 脂肪溶解注射:赤み・腫れ・むくみ・痛み・内出血・硬結・アレルギー反応(TAクリニック公式)
- BNLS Ultimate注射:疼痛・浮腫・内出血・色素沈着・熱傷・知覚障害など。予期しない症状の可能性もあるとTHE CLINIC公式が明記
注射のほうが軽く済むことが多いのは確かですが、それでもゼロにはなりません。
脂肪溶解注射を選ぶ前に、薬剤の承認状況を確認する

イメージ画像(実際の患者ではありません)
脂肪溶解注射に使われる薬剤には国内で承認されていないものがあり、厚生労働省の医療広告ガイドラインは、未承認医薬品を用いる自由診療について4つの項目を情報提供するよう求めています(厚労省公式)。
読者の側から見ると、この4項目こそがカウンセリングで聞くべきことのリストになります。個人輸入された未承認医薬品は品質・有効性・安全性の確認がなされておらず、健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外になると、厚生労働省が注意を呼びかけています(厚労省公式)。
ガイドラインが求めている4項目
- 未承認医薬品等であること
- 入手経路(どこから、どうやって入れているか)
- 国内の承認医薬品等の有無
- 諸外国における安全性等に係る情報
難しく見えますが、言い換えるとこうです。承認されていない薬か。どこから仕入れた薬か。国内に代わりの承認薬はあるか。海外で問題は起きていないか。
5つの院の公開情報を並べてみた
各院の公式ページを実際に開いて、4項目の記載を探しました。2026年9月6日時点の結果です。
| クリニック(製剤) | 未承認である旨 | 入手経路 | 国内承認薬の有無 | 諸外国の安全性情報 |
|---|---|---|---|---|
| ガーデンクリニック(チンセラプラス) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| THE CLINIC(BNLS Ultimate) | ○ | ○ | 同ページで確認できず | 同ページで確認できず |
| SBC(BNLSアルティメット) | 確認できず | 確認できず | 確認できず | 確認できず |
| TAクリニック(カベリンほか) | 確認できず | 確認できず | 確認できず | 確認できず |
| モッズクリニック | 公式の料金ページに脂肪溶解注射のカテゴリがなく、提供の確認が取れなかった | |||
4項目をそろえて公開していたのは、確認できた範囲ではガーデンクリニックだけで(同院公式)、チンセラプラスの記載内容は次のとおりです。
- 未承認である旨:国内未承認
- 入手経路:韓国KI Global社の製品を輸入代行業者を通じて入手
- 国内承認薬の有無:同じ成分・性能を持つ国内承認医薬品はない
- 諸外国の安全性情報:2021年1月時点でアジア諸国を中心に約40,000バイアルの使用実績。軽度の有害事象14例、重篤な有害事象は確認されていない
ここまで書いてある例は、多くありません。
- ガーデンクリニック:4項目とも記載あり(同院公式)
- THE CLINIC:未承認・入手経路の2項目のみ確認
THE CLINICは、施術が国内未承認であることと、医療機器専門の代理店や厚労省の許可を得た細胞加工施設等から入手していることを明記しています(同院公式)。残り2項目の記載は、同じページの中では見つけられませんでした。
- THE CLINIC:未承認・入手経路の2項目を明記(同院公式)
- 残りの2項目(国内承認薬の有無・諸外国の安全性情報)は同じページで確認できず
SBCとTAクリニックは、デオキシコール酸という成分について、米国FDAが脂肪溶解効果を認めていると説明しています(各院公式)。
ただ、製剤そのものの承認状況を4項目でそろえた記載は、確認したページの中では見つかりませんでした。
- ガーデンクリニック:4項目とも記載あり
- THE CLINIC:未承認・入手経路の2項目のみ確認
- SBC・TAクリニック:4項目セットの記載は確認できず
「確認できなかった」は「開示していない」ではない
表の読み方をはっきりさせておくと、「確認できず」は見たページの中に記載を見つけられなかったという意味です。
別のページや院内の同意書に書かれている可能性はあり、ページの内容も更新されるため、どの院がルールを守っていないという話ではありません。
- 「確認できず」=見たページに記載を見つけられなかった、という意味
- 別ページ・同意書に記載がある可能性は残る
言いたいのは、読者の側から確認していい項目があるということだけです。
ついでにもうひとつ、症例写真をどれだけ眺めても使われた薬剤の承認状況までは分かりません。写真は仕上がりの参考にはなっても、安全性の資料ではないんです。
- 「この薬は国内で承認されていますか」
- 「どういう経路で入手されている薬ですか」
- 「同じ目的で使える国内承認薬はありますか」
- 「海外での安全性の情報はありますか」
どちらが向いているか|条件で分かれる

脂肪吸引が向く人と脂肪溶解注射が向く人は、条件ではっきり分かれます。
休みをまとめて取れて1回で決着をつけたい方は脂肪吸引、日常を止めたくない方やまず様子を見たい方は脂肪溶解注射というのが、ざっくりした分け方になります。
メリットとデメリットを並べる
| 施術 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 脂肪吸引 | 原則1回で終わる/取る量を施術中に調整できる/通院回数が少ない | ダウンタイムが長い/麻酔が必要/取りすぎると戻せない/費用が先にまとまってかかる |
| 脂肪溶解注射 | 切らない/ダウンタイムが短め/1回あたりの負担が小さい/様子を見ながら進められる | 複数回の通院が要る/総額が読みにくい/未承認薬が使われることがある/変化はゆるやか |
メリットとデメリットはだいたい裏表になっていて、1回で終わることの裏にダウンタイムがあり、負担が軽いことの裏に回数があるというわけです。
脂肪吸引のほうが向きやすい人
頬や顎下をつまむと厚みがしっかりある方は、もたつきの原因が皮下脂肪そのものなので、脂肪吸引の効果を実感しやすい側です。
加えて、2週間ほどの回復期間を確保できる方や、何度も通うのが難しい人、遠方から通う人も、1回で終わる施術のほうが現実的です。
術式による違いは、ベイザーと従来法を比べた記事で扱っています。
- 頬・顎下をつまむと厚みがしっかりある
- 2週間ほどの回復期間を確保できる
- 何度も通うのが難しい・遠方から通う
脂肪溶解注射のほうが合いやすい人
気になる範囲が狭く変化も控えめでいい方や、仕事や予定を止められない方には、脂肪溶解注射のほうが合います。
「手術はまだ怖い」という段階で、まず試してみたい人にも選ばれています。
ただし、通う期間は院と製剤で数週間から数ヶ月まで変わります。そこは先に確認してください。
どちらも向かない場合がある
もたつきの正体が脂肪でないなら、どちらの施術も期待した結果になりません。皮膚のたるみや筋肉、骨格が主な原因のことがあるからです。
- もたつきの原因が脂肪でない(たるみ・筋肉・骨格)ことがある
- 頬がこけ気味の方は、脂肪を減らす施術に慎重
もともと頬がこけ気味の方は、脂肪を減らす施術は慎重に考えたほうがよく、取りすぎると老けた印象になることがあります。
頬の脂肪のかたまりについては、頬とバッカルファットを扱った記事で別に整理しました。
受けないという結論もちゃんと選択肢で、クリニックの記事はここを書きにくいのであえて書いておきます。
併用・使い分けという選択肢もある

イメージ画像(実際の患者ではありません)
脂肪吸引と脂肪溶解注射はどちらか一方を選ばなければいけないものではなく、先に注射を試して変化が足りなければ脂肪吸引を検討するという順番を取る人もいます。
THE CLINICが脂肪吸引注射を積極的に行わない理由
THE CLINICは公式コラムで、極細カニューレを使う機械式の「脂肪吸引注射」を積極的には行っていないと説明しています(同院公式)。
理由として挙げられているのは3つです(同院公式コラム)。
- 体型の変化を実感できるほどの効果が得づらいこと
- 効果を感じられずに結局脂肪吸引で受け直す人が少なくないこと
- 脂肪吸引注射でできることの多くは脂肪吸引でも対応できること
つまりTHE CLINICの立場は、脂肪吸引と脂肪溶解注射のあいだの「中間の施術」をはさまないことです。
最初から二択で考えたほうが遠回りになりにくい、という判断です。
「試してから決める」という順番
脂肪溶解注射から始める利点は引き返せることで、数回受けてみて物足りなければ手術を検討する余地が残ります。逆の順番はできません。
ただし注射に使った費用は戻ってこないため、2〜3回分を払ってから手術を選ぶと合計はそれなりの金額になります。
たとえば頬のふくらみが軽度で「まず試してみたい」という人は、脂肪溶解注射を数回受けてから判断するのが現実的です。
輪郭の変化をはっきり出したい人は、最初から脂肪吸引を選んだほうが早いです。
最初から脂肪吸引を選ぶ場合と比べて、どちらが自分に合うかを考えてみてください。
併用できるかは、診察で決まる
脂肪溶解注射のあと、どのくらい間を空ければ脂肪吸引ができるのか、公式に数字を出している院は見つけられませんでした。
ここは正直に書いておくと、分からないことを分かった風には書きません。
注射を受けた経験があるなら、その事実はカウンセリングで先に伝えてください。
- 製剤名
- 受けた時期
- 回数
他院に見られる組み合わせメニューという選択肢
併用自体は禁止されていません。
脂肪吸引を単体ではなく、リフト系の施術と組み合わせるメニューを用意している院もあります。
たとえばmybc(東京)は、糸リフトと脂肪吸引を組み合わせたメニューを用意しています。
「サクションリフト」という名称で、公式サイトに掲載されています(同院公式サイト)。
湘南美容クリニック(SBC)も、公式サイトでエラボトックスや糸リフトといった他施術との組み合わせに触れています(同院公式サイト)。
ただしTHE CLINICとSBCの公式ページの範囲では、脂肪溶解注射から脂肪吸引に進むという順番の話は出てきます。
一方で、リフト施術との組み合わせを前面に出した専用メニュー名までは確認できませんでした。
組み合わせを検討するなら、その院が実際にどんな併用実績を持っているか、カウンセリングで具体的に聞くのが確実です。
施術の流れそのものも、2つでは違います。
- 脂肪吸引:カウンセリング→血液検査→手術→抜糸・検診と続く
- 脂肪溶解注射:診察のあと注射をして、その日のうちに帰れることが多い
まとめ:迷ったときに確認する3つ
顔の脂肪吸引と脂肪溶解注射は優劣ではなく条件で選ぶ施術で、1回で終わらせたくて休みも取れるなら脂肪吸引、日常を止めたくないなら脂肪溶解注射です。
そして、名前の似た脂肪吸引注射は、薬剤を使わない別の施術でした。
費用は、必ず総額で比べてください。ガーデンクリニックのチンセラプラスのように単価と回数の両方が公表されていれば計算できますが、そうでない院もあります(同院公式)。
- 合計で何回・何本になるか(総額はいくらか)
- 使う薬剤は国内承認薬か、未承認薬か
- 人前に出られるまで何日か、完成まで何ヶ月か
そもそも受けるかどうかで迷っているなら、施術の比較より前に読んでほしい記事があります。顔の脂肪吸引はやめた方がいいのかを整理した記事で、向いている人と向いていない人を条件つきで分けました。
受けると決めたあとに効いてくるのは、医師選びです。クリニックと医師の選び方をまとめた記事も、あわせて参考になります。
よくある質問
脂肪吸引と脂肪溶解注射は、どちらを選べばいいですか?
条件で決まります。2週間ほどの回復期間を確保できて、1回で終わらせたい人は脂肪吸引が候補です。日常を止めたくない人、変化は控えめでいい人、まず試してみたい人は脂肪溶解注射が候補になります。どちらが優れているという比べ方はできません。もたつきの原因が脂肪ではない場合は、どちらも期待した結果になりにくいので、まず診察で原因を確かめてください。
脂肪吸引注射と脂肪溶解注射は同じものですか?
別の施術です。脂肪溶解注射は薬剤を注入して脂肪細胞を壊す施術で、脂肪吸引注射は薬剤を使わず、極細のカニューレで少量の脂肪を機械的に吸い出す施術です。名前が似ているため検索結果でも混ざりますが、費用もダウンタイムも別ものとして読んでください。THE CLINICは脂肪吸引注射を積極的には行っていません(同院公式コラム)。
脂肪溶解注射は何回くらい必要ですか?
3回前後を目安に案内している院が多いです。THE CLINICは1週間に一度のペースで3回ほど、SBCは1週間以上あけて3回程度、ガーデンクリニックは2〜4週間の間隔で2〜3回と案内しています。TAクリニックは、製剤ごとに間隔が異なり、カベリンとFatX Coreが1ヶ月に1回、1dayスリムフェイスが1〜2週間に1回です。必要な回数は顔の状態で変わるので、診察で確認してください。
どちらが安く済みますか?
総額で見ないと判断できません。ガーデンクリニックのチンセラプラスは1本105,600円で治療回数2〜3回のため、1回1本で計算すると211,200円から316,800円になります(同院公式の単価をもとに計算)。一方でTHE CLINICの顔の脂肪吸引は、施術費と基本セットを合わせて会員352,000円・一般479,600円です(同院公式)。1回あたりの表示価格だけで比べると、差を見誤ります。部位別・術式別の費用は顔の脂肪吸引の費用をまとめた記事で整理しています。
脂肪溶解注射の薬は、国内で承認されているのですか?
国内未承認の薬剤が使われることがあります。厚生労働省の医療広告ガイドラインは、未承認医薬品を用いる自由診療について、未承認である旨・入手経路・国内の承認医薬品等の有無・諸外国における安全性等の情報を提供するよう求めています(厚労省公式)。5つの院を見ると、4項目をそろえて公開していたのはガーデンクリニックでした。掲載場所は院によって異なるため、カウンセリングでそのまま質問するのが確実です。
脂肪溶解注射ならダウンタイムはありませんか?
脂肪吸引より短い傾向ですが、無いわけではありません。TAクリニックは、赤みや腫れが2〜7日、痛みが2〜3日、内出血が1〜2週間、そのほかむくみ・硬結・アレルギー反応が挙げられます(同院公式)。THE CLINICのBNLS Ultimate注射でも、疼痛・浮腫・内出血・色素沈着・熱傷・知覚障害などに加え、予期しない症状が現れる可能性があります。人前に出る予定があるなら、注射でも日程は選んでください。
料金・条件・薬剤の取り扱いは変更されることがあります。受診前に各クリニックの公式情報を確認してください。
参照
この記事の内容は、2026年9月6日時点の次のページをもとにしています。
- THE CLINIC・ガーデンクリニック・TAクリニックほか、5院の公式ページとコラム
- 厚生労働省の医療広告ガイドライン

顔の脂肪吸引ナビ編集部
顔の脂肪吸引を検討する時に一番時間がかかるのは、クリニックごとに書き方が違う料金・保証・症例数を並べて比べる作業です。THE CLINIC・湘南美容クリニック・ガーデンクリニック・モッズクリニック・TAクリニックの公式情報と、厚生労働省・国民生活センターの公表資料を同じ形式で突き合わせ、比べやすく整理しています。

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