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顔の脂肪吸引は危ない?公表されている事故とリスクを確認する

「顔の脂肪吸引は危ないですか」——気になるのは噂の量ではなく、実際に何が起きているのかという事実だと思います。

脂肪吸引に起因して死亡に至った事例があることは、厚生労働省の検討会がまとめた報告書で示されています(令和6年11月22日公表)。

ただし、脂肪吸引だけの死亡率を示した国内の公的な統計は見当たりませんでした。無いものは無いんです。ここは正直に書きます。

公表資料の範囲で「確認できること」と「確認できないこと」を分けて整理し、出典をたどれない数字は載せません。

  • 確認できること:脂肪吸引に起因して死亡に至った事例があること(厚生労働省)
  • 確認できないこと:脂肪吸引だけの死亡率を示す国内の公的な統計
この記事でわかること
  • 厚生労働省の報告書に、脂肪吸引と死亡についてどう書かれているか
  • 死亡事故が起こるときの医学的な原因(血腫・脂肪塞栓症・麻酔・カニューレ操作・感染症)
  • 顔と顎下ならではのリスクが、ほかの部位と何が違うのか
  • 「死亡率は?」に公的資料でどこまで答えられるか、答えられないか
  • 危なさを下げるために、カウンセリングで確かめたいこと
目次

【結論】顔の脂肪吸引が危ないかは「確認できる事実」と「確認できない事実」に分けて考える

公的な資料で確かめられることは正直に言って多くありませんが、その中身は判断の材料になるほどはっきりしています。

逆に、ネットでよく見かける数字には出典をたどると行き止まりになるものもあったので、最初にどこまでが公表された事実なのかを並べます。

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知りたいこと公的資料で確認できるか根拠
脂肪吸引に起因する死亡事例があるか○ 確認できる厚生労働省の検討会報告書に、死亡に至った事例が報告されたと明記
どんな医学的原因で起こるか○ 確認できる血腫・脂肪塞栓症・麻酔・カニューレ操作などを各クリニック公式が説明
日本国内の脂肪吸引の死亡率× 確認できない厚生労働省の報告書にも件数の記載がなく、ほかの公的統計でも見当たらない
顔・顎下だけに絞った事故の件数× 確認できない部位別に集計した公表資料が存在しない
美容医療全般に寄せられる相談の件数△ 参考にはなる国民生活センターが公表。ただし脂肪吸引単独の数字ではない

この表の×の行が、いちばん伝えたいところで、危険度を数字で示してくれる資料はいまのところ無いんです。

だからといって安全だから統計が無いわけでもなく、統計が無いことと事故が無いことは別の話です。

ここから、確かめられた中身を順に開いていきます。

厚生労働省の検討会が報告書に書いていること

厚労省報告書の本文6ページと13ページに何が書かれているかを示した図。死亡に至った事例の報告と、原因となる3つの状態
図:報告書のどこに何が書かれているか(本文6ページ・13ページ)

厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」が令和6年11月22日に公表した報告書では、脂肪吸引に起因して死亡に至った事例が報告されたことが示されています。

「脂肪吸引術に起因して、死亡に至った事例」という記述

報告書の本文6ページには、こう書かれています。脂肪吸引術といった特定の治療に起因して死亡に至った事例や、ショック症状・重篤な感染症・失明など、患者の生命や健康が大きく脅かされた事例も報告された、と(厚生労働省)。

この報告書について
  • 名称:美容医療の適切な実施に関する検討会 報告書
  • 公表日:令和6年11月22日
  • 構成員:日本美容外科学会(JSAS・JSAPS)理事長、日本医師会常任理事など。消費者庁もオブザーバー参加
  • 位置づけ:行政と業界団体が共同で事実確認した会議体で、法律ではなく報告書

行政の文書なので、言い回しは硬いです。でも意味は単純です。

脂肪吸引で人が亡くなった事例が実際にあり、国の検討会もそう受け止めていて、ネットの噂話ではなく行政の公表資料に書かれているところが大事なんです。

本当にあるのか、という疑問には、ここでいったん答えが出ます。

原因として挙げられている3つの状況

本文13ページでは、美容医療に起因する死亡事例が起きていることも報告されています。その前後で、問題のある状態がはっきり挙げられていました(厚生労働省)。

ここで大事なのは、「施術そのものが危ない」ではなく「体制が危ない」という書かれ方をしている点です。

  • 経験の浅い医師による、侵襲性の高い治療(体への負担が大きい施術を、経験の少ない医師が行っている)
  • 全身管理の経験がない医師による、全身麻酔下での手術(周術期の循環器・呼吸器の管理経験が乏しい)
  • 緊急時の対応ができる病院との連携体制が無い(術中の出血や呼吸不全に対応できない)

この3つは、そのままクリニック選びで確かめる項目になるので、あとの章でカウンセリングでどう聞けばいいかまで落とし込みます。

件数も医療機関名も、報告書には書かれていない

本文を最後まで読みましたが、死亡事例の件数や発生率にあたる数字はどこにもなく、医療機関の名前も出てきません。

  • 分かっている:脂肪吸引術に起因して死亡に至った事例が報告されたこと
  • 分かっていない:件数、発生率、医療機関名

つまり「事例が報告された」というところまでが、国が公表している事実のすべてです。物足りないかもしれません。でも、そこを勝手に埋めて「年間◯件」と書いた瞬間に、それは創作になります。

ちなみに、この検討会は美容医療を批判したい側だけが集まった会議ではありません。開催要綱を見ると、日本美容外科学会の理事長や美容外科の経営者、日本医師会の常任理事が構成員に入っています(厚生労働省)。

消費者庁も、オブザーバーで入っていました。

死亡事故が起こるときの医学的な原因

顎下の吸引で血管が傷つき血腫ができ、気道の近くにあるため圧迫して呼吸の通り道がふさがれるまでの4段階の経路図
図:血腫が気道をふさぐまでの経路(顔・顎下ならでは)

脂肪吸引で死亡事故が起こるときの原因は、大きく5つに整理できるうえ、クリニック各社の公式ページを読み比べても、挙げている中身はおおむね一致していました。

怖い話が続きます。ただ、原因が分かれば確かめる相手も見えてきます。

血腫による気道閉塞

血腫とは体の中にたまった血のかたまりのことで、顎下や首まわりを吸引したあとにできると、それが気道を圧迫して息の通り道をふさいでしまうことがあります。

顔と顎下で、いちばん警戒されている経路がこれで、気道が近い部位だからこそ、ほかの部位では起こらない形の危険が生まれます。

すぐ連絡できる窓口があるかどうかがここでは効いてくるので、術後に息苦しさや首が急に腫れてきた感覚があったら、様子を見ないでください。

  • 左右差
  • 皮膚の凹凸・取り残し/吸引ムラ(他院への修正相談でも多いとされる症状)
  • 皮膚のたるみ・硬さ(拘縮)
  • 色素沈着
  • しびれ・感覚の鈍さ

ガーデンクリニックが公式に挙げている「起こりうるリスク」には、命に関わるものだけでなく、こうした症状も並んでいます。

見た目の失敗との違いは、あとの章で整理します。

脂肪塞栓症

脂肪塞栓症は、傷ついた血管に脂肪が入り込み、肺などの血管を詰まらせてしまう状態です。THE CLINICは、血管を損傷した部分に脂肪が流入して起こり、体への負担が大きい施術ほど起こりやすいと説明しています。

  • 血管を損傷した部分に脂肪が流入して起こる
  • 体への負担が大きい施術ほど起こりやすい

吸引する量が多い部位ほどリスクが上がるという構図で、顔は吸引量そのものが少ないので、お腹や太ももに比べれば起こりにくい部位だと見ていいと思います。

ただ、顔ならゼロだと示したデータもありません。

THE CLINIC公式が挙げる、そのほかのリスク
  • 感覚異常・多量出血:神経や周辺組織の損傷(回避法:脂肪を遊離させてから吸引する方式)
  • 内臓破損:帝王切開など手術歴がある場合のヘルニアリスク(回避法:術前エコーでの確認)

麻酔にまつわる事故

麻酔は、施術そのものと同じくらい重い工程です。THE CLINICは、麻酔専門医が不在だと麻酔薬の血中濃度が上がりすぎ、中毒や呼吸停止につながるリスクがあると説明しています。

報告書が全身管理の経験がない医師による全身麻酔を問題として挙げていたのも同じところを指していて、手術の腕と麻酔や全身管理の力は別の技術なんです。

気になる方は、「誰が麻酔を担当するのか」を遠慮せずに聞いていい質問です。

  • 麻酔科医としての資格を持っているか
  • 術中に異変が出たとき、すぐ対応できる体制か

カニューレ操作による損傷

カニューレは、脂肪を吸い出すために体に差し込む細い管です。この操作が未熟だと、血管や神経、部位によっては内臓を傷つけるリスクがあるとTHE CLINICは説明しています。

  • 血管・神経の損傷
  • 部位によっては内臓の損傷

顔のばあい内臓の損傷は構造上ほぼ関係ない一方で、かわりに問題になるのが血管や神経の損傷と取る量のムラです。

ここは執刀する医師の経験がそのまま出るので、症例数を確認する意味が生まれるんです。

THE CLINIC公式が挙げる3つの安全対策
  • 日本麻酔科学会認定の専門医を中心とした麻酔管理
  • カニューレ操作が未熟な医師を現場に出さない
  • 体へのダメージを抑えるベイザー脂肪吸引の使用

あくまで当院の取り組みとしての説明で第三者機関による検証を受けたものではないものの、何を対策として掲げているかは聞く前から分かる目安になります。

感染症

傷口から細菌が入れば感染症が起こり、ほとんどは適切な処置で治まりますが、まれに全身へ広がる重い感染症や壊死性筋膜炎のような重症例に発展することがあります。

  • ほとんどは適切な処置で治まる
  • まれに全身への感染症・壊死性筋膜炎に発展する

THE CLINICは、感染症を避ける体制として個室の手術室と清潔な空調管理を挙げています。報告書でも、重篤な感染症は健康が脅かされた事例のひとつでした。

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原因起こる仕組み顔・顎下での関わり方
血腫による気道閉塞たまった血のかたまりが気道を圧迫する気道が近いぶん、顔と顎下で最も警戒される経路
脂肪塞栓症損傷した血管に脂肪が入り、肺などの血管を詰まらせる吸引量の多い部位ほど起こりやすい。顔は吸引量が少ない
麻酔にまつわる事故麻酔薬の血中濃度が上がり中毒・呼吸停止に至る部位を問わず共通。全身麻酔を使う場合はとくに重い
カニューレ操作による損傷管の操作で血管・神経・臓器を傷つける顔では血管と神経の損傷、取る量のムラが問題になる
感染症傷口から細菌が入り、まれに重症化する手術室の清潔管理と術後の処置で対応する領域

5つを並べて気づくのは、どれも施術の種類より体制と技術に紐づいているということで、報告書の書きぶりともきれいに重なります。

顔・顎下の脂肪吸引ならではのリスクは何が違うのか

顔・顎下とお腹・太ももなど体幹部位で、吸引量・気道や神経との距離・リスクの質がどう違うかを並べた比較図
図:顔・顎下と体幹部位で、危険の質はここが違う

顔と顎下は体のほかの部位と危険の質が違います。理由は単純です。気道と太い血管、そして表情を動かす神経が狭い範囲に集まっているからです。

気道が近いという構造上の事情

お腹や太ももで血腫ができても息の通り道は圧迫されませんが、顎下では血腫がそのまま気道を圧迫する位置関係になります。

  • お腹・太もも:血腫ができても気道は圧迫されない
  • 顔・顎下:血腫がそのまま気道を圧迫する位置関係

吸引する量は顔のほうが少ないのに、重くなるまでの距離は顔のほうが短いという、少し直感に反する構図なんです。

だから、術後の圧迫と経過観察の指示を軽く扱わないでください。指示を守ること自体が、安全対策の一部になっています。

術後、これに気づいたらすぐ連絡
  • 息苦しさを感じる
  • 首が急に腫れてきた

神経と血管が集まっている

顔には表情を動かす神経が走り、顎下には首の静脈が通っているので、この層をカニューレが通ると操作の精度がそのまま結果に出ます。

  • 顔:表情を動かす神経が走る
  • 顎下:首の静脈が通る

神経に関わる症状の多くは一時的です。口が動かしにくい状態が出ても、多くは1ヶ月ほどで改善するとTHE CLINICは説明しています。

ただ、この「多く」の中身は公表されておらず、改善しなかった人がどれくらいいるのかは分からないままです。

気になるなら、この聞き方が具体的

「症例を見せてください」よりも、「何%くらいの方に一時的な症状が出ますか」と聞くほうが、その院が自分のデータをどこまで把握しているか分かります。

命に関わるリスクと、見た目の失敗は別の話

ここを混ぜて考えると、判断がぶれます。整理しておきます。

  • 命に関わるリスク:血腫・脂肪塞栓症・麻酔・感染症の系統
  • 見た目の失敗:左右差・凹凸・こけ・拘縮

命に関わるのは、ここまでに挙げた血腫・脂肪塞栓症・麻酔・感染症の系統です。一方、左右差や凹凸、取りすぎによるこけ、皮膚の硬さ(拘縮)は、つらさの質がまるで違います。

前者は搬送体制と全身管理の話。後者は仕上がりと修正の話です。

合併症と後遺症も言葉を分けて聞いたほうがよく、合併症は術中から術直後に起こるもの、後遺症はそのあと長く残るものと使い分けるのがふつうです。

  • 合併症:術中から術直後に起こるもの
  • 後遺症:そのあと長く残るもの

見た目のほうが気になる方は多いはずです。凹凸や左右差がどう起こり、どこまで修正できるかは顔の脂肪吸引の失敗と修正に、腫れや内出血の経過は痛みと内出血のダウンタイムにまとめています。

「顔の脂肪吸引の死亡率は?」に正直に答える

死亡率に関する情報を出典の確からしさで3段階に分けた図。確認できる・参考になる・確かめようがないの整理
図:死亡率の話を、どこまで信じていいか

結論から書くと、国内で公的機関が公表している脂肪吸引の死亡率の統計は見当たりませんでした。

顔だけに絞った死亡率はなおさら存在せず、報告書にも件数は無く、国民生活センターの公表データは相談件数であって死亡の統計ではないんです。

ネットで見かける死亡率の数字が信用できない理由

検索していると「10万件あたり何人」という形の死亡率や「◯%以下」という表現に出会うと思いますが、上位に出てくるページのいくつかも、こうした数字を載せていました。

  • 「10万件あたり何人」という形の死亡率
  • 「死亡率は◯%以下」という表現

ただ、その数字の出典をたどると行き止まりになります。本文にURLが無い。あるいは海外の機関のデータだとされているだけで元の資料に当たれません。

国内の脂肪吸引の実態を表した死亡率なのかどうか、確かめようがないんです。

数字があるほうが説得力は出ますが、出典をたどれない数字をもとに安心したり不安になったりするのは避けたほうがいいです。

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よく見かける情報出典をたどれるかこの記事での扱い
「10万件あたり何人」という形の死亡率× 出典URLが無い、または海外データの引用元に当たれない載せない
「死亡率は◯%以下」という表現× 出典の明記が無い載せない
「当院では死亡事故は起きていない」△ そのクリニック自身の申告第三者では検証できないため、根拠としては使わない
脂肪吸引に起因する死亡事例が報告された○ 厚生労働省の報告書に記載事実として扱う(件数は書かれていない)

「当院は0件です」という説明の読み方

クリニックのコラムには自院では死亡事故が一度も起きていないと載っていることがあり、安心材料として置いているわけです。

  • 自院の申告であり、第三者が検証する仕組みは無い
  • 確かめるなら実績の数字より、麻酔の担当者・搬送先などの体制

これが嘘だと言いたいのではありません。ただ、自院の申告を第三者が検証する仕組みは無いんです。そこは覚えておいてください。

第三者による検証の手段が無い以上この数字を保証することはできないので、確かめたいなら実績の数字ではなく体制を聞くほうが確実です。麻酔を誰が担当するか、緊急時にどこへ搬送するか。

どちらも、その場で答えられるはずのことですから。

「稀」の感じ方は人による

「極めて稀」という言葉は、統計としては小さくても、自分の身に起きれば重さは変わりません。安心材料として受け取るか、ゼロではない事実として受け取るかは、読み手しだいだと思います。

なお、ガーデンクリニックは公式のよくある質問で、死亡事故のリスクについて「極めて稀ですが、ゼロとは言えません」と回答しています。原因の多くは全身管理の不足や過剰吸引だ、とも書いていました。

稀ではあるがゼロとは言えない、というのが施術を提供する側が公式に書いている表現としてはいちばん正直な線だと思います。

国民生活センターに寄せられている美容医療の相談件数

国民生活センターが公表する美容医療サービスの相談件数の推移。2023年度6,281件・2024年度10,744件・2025年度7,944件の棒グラフ
図:美容医療サービスの相談件数の推移(国民生活センター公表)

死亡率の統計は無いと書きましたが、美容医療のトラブル全体の量なら公表されている数字があります。国民生活センターが公表している美容医療サービスの相談件数です。

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年度美容医療サービスの相談件数
2023年度6,281件
2024年度10,744件
2025年度7,944件

この件数は、脂肪吸引だけの数字ではない

この件数には脱毛や豊胸、包茎手術なども入っていて、美容医療の施術ぜんぶをまとめた数字であり、脂肪吸引だけの件数ではないことは強調させてください。

つまり「脂肪吸引でこれだけトラブルが起きている」とは読めないので、表を見て怖くなった方は、そこだけ切り離して受け取ってください。

顔の脂肪吸引に絞った件数も探しました。ありませんでした。

  • 施術別の内訳(相談のうち脂肪吸引がどれだけを占めるか)
  • 原因別の内訳(技術的なトラブルか、契約・解約をめぐるものか)
  • 地域別・クリニック規模別の内訳

この数字だけでは分からないことも、正直に書いておきます。

年度ごとの増減を、危険度の変化と読まない

2024年度は前の年度から大きく増え2025年度は減っていて、数字だけ見ると危険度が上下したように感じます。

ただ、増減の理由は公表資料から読み取れず、相談窓口の周知が進めば件数は増えますし集計の対象が変われば動くので、この折れ線を施術の安全性のグラフとして読むのは無理があります。

この数字の使い方

「怖いから受けない」を決める根拠にするより、「契約前に一度持ち帰る」理由として使うほうが、この数字には合っていると思います。

もう1つ。これは消費生活相談として集計された件数であり、施術の結果に関するものだけとは限らず契約や解約をめぐる相談も同じ枠に入ります。

それでも言えることはあり、美容医療というジャンル全体に年間数千件の相談が寄せられているのは事実なので、その場で契約を求められたときにいったん持ち帰る理由としては十分です。

命に関わるリスクとは別に費用や仕上がりで後悔する道筋もあり、そちらは顔の脂肪吸引のデメリットで費用の内訳やダウンタイムまで含めて整理しています。

危なさを下げるために確認したいクリニック・医師選びの基準

医師がカルテを確認しながら患者にカウンセリングで説明している様子
クリニック・医師選びは、カウンセリングでの確認が基本になる
イメージ画像(実際の患者ではありません)

ここまでの原因を裏返すと確認すべきことが見えてきて、報告書が挙げていた3つの状態が、そのままチェック項目になるんです。

麻酔と周術期の管理を誰が担当するか

報告書が問題にしていたのは全身管理の経験がない医師が全身麻酔下で手術をしている状態だったので、聞くべきは麻酔の担当者です。

  • 麻酔科医としての資格を持っているか
  • 全身管理(循環器・呼吸器)の経験があるか

THE CLINICは、日本麻酔科学会の認定を受けた専門医を中心に麻酔を管理していると公式に説明しています。こうした安全対策を公表している院なら、同じ質問にもきちんと答えられるはずです。

ただし、これはクリニック自身が出している情報で、第三者機関の検証を受けたものではありません。

報告書の指摘と、ここがつながる
  • 麻酔の担当者を聞く → 全身管理の経験不足を確かめる質問
  • 搬送先を聞く(次の項目) → 連携体制の欠如を確かめる質問

緊急時に搬送できる病院との連携体制があるか

術中の出血や呼吸不全に、その場で対応できるか、対応しきれないときどこへ運ぶのか。報告書が挙げた3つ目の状態が、まさにここでした。

連携先の病院名まで即答できる院と言葉を濁す院とでは、準備の量が違います。

答えにくそうな空気になったら、そこも見ておいてください。

聞きにくい質問への対処法

その場の会話で切り出しにくいなら、カウンセリング予約フォームの備考欄に先に書いておく方法があります。院側も準備して答えられるので、焦らず引き出せます。

症例数と、顔をどれだけ扱っているか

カニューレ操作の精度は経験の量に左右されますが、クリニック全体の症例数だけを見ても足りないので、顔と顎下の症例をどれだけ担当してきた医師なのかそこまで踏み込んで聞いてください。

体の脂肪吸引が得意な医師と、顔を得意とする医師は、同じとはかぎりませんから。

「安いから」という理由だけで選ばない

価格そのものが危険なわけではありません。ガーデンクリニックも公式で、価格より医師の経験年数や吸引方法、麻酔と術後の管理体制のほうが重要だとしています。

  • 医師の経験年数
  • 吸引方法
  • 麻酔と術後の管理体制

そのうえで、異常に安い価格設定は技術や時間を削っている可能性が高く注意が必要だとも書かれていたので、安さの理由を言えるかどうかそこを見てほしいんです。

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確認する項目なぜ効くかそのまま使える聞き方
麻酔の担当者全身管理の経験不足が、報告書で問題として挙げられている「麻酔は誰が担当して、どんな資格をお持ちですか」
緊急時の搬送先連携体制が無いことが、報告書で問題として挙げられている「緊急時に搬送する病院は、どちらと連携していますか」
顔・顎下の症例数カニューレ操作の精度は経験に左右される「先生ご自身が担当された顔の症例は、どれくらいですか」
術後に連絡できる窓口血腫による気道圧迫は、早く気づけるかが分かれ目になる「夜間や休診日に異変が出たら、どこへ連絡すればいいですか」
価格の内訳安さの理由を説明できない院は、削っている工程がある可能性「この価格に、麻酔と術後の管理は含まれますか」
カウンセリングで様子を見たいポイント
  • リスクの説明を、こちらから聞く前にしてくれるか
  • 「必ず安全」「リスクはゼロ」といった言い方をしていないか
  • その場での契約を求めてこないか

医師ごとの経歴や、どんな基準で選べばいいかは顔の脂肪吸引でクリニックと医師を選ぶ基準で詳しく扱っています。カウンセリングは無料の院が多いですが、1院で決めないのが基本です。

「受ける」「受けない」を自分で決めるために

鏡を見ながら受けるかどうかを考えている女性
迷いが残るなら保留も選択肢。決めるのは自分自身
イメージ画像(実際の患者ではありません)

ここまで読んでどう感じたでしょうか。危ないと思ったならその感覚は間違っておらず、大丈夫そうだと思ったならそれも資料にもとづく判断です。

クリニックの記事は、構造的に「受ける」に着地する

「顔 脂肪吸引 危ない」で出てくるページを一通り読みましたが、上位はほぼ全部が美容外科クリニック自身のコラムで、個人が書いたサイトはほとんど見当たりません。

  • 上位のほとんどが美容外科クリニック自身のコラム
  • 個人が書いたサイトはほとんど見当たらない

そして、その多くが同じ論調で終わり、リスクはあるが極めて稀で、安全対策をしている院なら防げるという着地です。

書いている側が施術を提供する立場ですから、そこへ向かうのは自然なことです。ただ、その結論の外側に「受けない」という選択肢が残っていることは、読み取りにくいだけです。

見分け方のヒント
  • 運営者情報にクリニック名や医療法人名が入っていないか
  • 自院で受けた前提の一人称の体験談で書かれていないか

受けないという判断も、負けではない

顔の脂肪吸引は、健康を取り戻すための治療ではありません。受けなくても生活は続きます。だから、怖さが消えないまま契約しなくていいんです。

迷いが残っている方は、期限を切らずに待ってください。カウンセリングを2院受けて、両方の説明を持ち帰ってから決めても遅くありません。

反対に、リスクの中身を理解したうえで体制を確認できる院が見つかったなら、進める判断もあっていいと思います。どちらを選んでも、あなたが自分で決めたことになりますから。

  • カウンセリングを2院以上受けて、その場で決めない
  • 持ち帰った説明を、期限を切らずに読み返す
  • 体制の質問に曖昧に答える院は、候補から外す

決めるのは、あなたです。

この記事で参照した情報源
  • 厚生労働省「美容医療の適切な実施に関する検討会」報告書
  • 国民生活センター(美容医療サービスの相談件数)
  • THE CLINIC公式・ガーデンクリニック公式(リスクの説明)

まとめ:公表されている事実だけで判断する

顔の脂肪吸引が危ないかどうかを公的資料の範囲でまとめると、脂肪吸引に起因して死亡に至った事例があることは、厚生労働省の検討会の報告書に書かれています。

  • 確認できる:脂肪吸引に起因して死亡に至った事例があること
  • 確認できない:件数・死亡率を示す公的統計

ただし件数や死亡率は、その報告書にも、ほかの公的統計にもありません。

そして報告書が問題として挙げていたのは施術そのものではなく体制で、経験の浅い医師、全身管理の経験がない状態での全身麻酔、緊急時に連携できる病院が無いことのこの3つです。

保存版:カウンセリングで確認する3つ
  • 麻酔は誰が担当し、どんな資格を持っているか
  • 緊急時に搬送する病院と、どう連携しているか
  • 執刀医が顔・顎下を担当した症例はどれくらいか

この3つにきちんと答えてくれる院なら報告書が指摘した状態からは距離がありますが、答えが曖昧ならそこで止まってください。

急いで決めて得をすることは、この施術に関してはひとつもありません。

次に読むなら、医師をどう選ぶかをまとめたクリニックと医師の選び方か、命に関わるリスクとは別の後悔を扱った顔の脂肪吸引の失敗と修正が近いと思います。費用や回復期間まで含めて全体を見たい方は、デメリットの整理が入口です。

よくある質問

顔の脂肪吸引は危ないですか?

脂肪吸引に起因して死亡に至った事例があることは、厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」報告書(令和6年11月22日公表)に記載されています。ただし報告書に件数の記載は無く、危険度を数字で示した公的資料は見当たりません。報告書が問題として挙げているのは、経験の浅い医師による施術、全身管理の経験がない医師による全身麻酔、緊急時に対応できる病院との連携が無いことの3点です。施術の種類より、体制を確認してください。

顔の脂肪吸引の死亡率はどれくらいですか?

日本国内で公的機関が公表している脂肪吸引の死亡率の統計は、2026年9月6日時点で確認できませんでした。顔だけに絞った数字は、なおさら存在しません。ネット上には「10万件あたり何人」という形の数字もありますが、出典をたどれないか海外のデータであることが多く、信頼できる数字とは言えません。

顔の脂肪吸引で死亡事故が起こるのは、どんな原因ですか?

主に挙げられているのは、血腫による気道閉塞、脂肪塞栓症、麻酔にまつわる事故、カニューレ操作による血管や神経の損傷、感染症の5つです。顔と顎下では、血腫が気道を圧迫する経路がとくに警戒されます。吸引量そのものは体の部位より少ない一方で、気道や神経が近いという構造上の事情があります。

美容医療のトラブルは、どれくらい起きているのですか?

国民生活センターが公表している美容医療サービスの相談件数は、2023年度6,281件、2024年度10,744件、2025年度7,944件です。ただしこれは脱毛や豊胸なども含む美容医療全般の相談件数で、脂肪吸引だけの数字ではありません。消費生活相談として集計された件数なので、施術の結果に関するものだけとも限りません。

「当院では死亡事故ゼロ」という説明は、信じていいですか?

そのクリニック自身の申告であり、第三者が検証する仕組みはありません。確かめたいなら実績の数字ではなく、麻酔の担当者と資格、緊急時の搬送先、執刀医が顔・顎下を担当した症例数といった体制を聞くほうが確実です。

怖いと感じたら、受けないほうがいいですか?

顔の脂肪吸引は健康を取り戻すための治療ではないので、迷いが残るまま契約する必要はありません。期限を切らずに保留にする判断もあります。逆に、リスクの中身を理解して体制を説明できる院が見つかったなら、進める判断もあります。仕上がりの後悔については失敗と修正の記事にまとめています。

制度や体制、料金は変更されることがあるため、受診前に各クリニックの公式情報を確認してください。

参照

この記事の内容は、2026年9月6日時点の次のページをもとにしています。

  • 厚生労働省の検討会報告書(令和6年11月22日公表)
  • 国民生活センターの公表資料

顔の脂肪吸引ナビ編集部

顔の脂肪吸引ナビ編集部

顔の脂肪吸引を検討する時に一番時間がかかるのは、クリニックごとに書き方が違う料金・保証・症例数を並べて比べる作業です。THE CLINIC・湘南美容クリニック・ガーデンクリニック・モッズクリニック・TAクリニックの公式情報と、厚生労働省・国民生活センターの公表資料を同じ形式で突き合わせ、比べやすく整理しています。

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